田んぼの生態として思い浮かべる代表的な生物は「タニシ」だと思います。
そんなタニシですが、1990年代から日本では"通称: ジャンボタニシ"とうい生物を見るようになりました。それが今回の主役である「スクミリンゴガイ」です。

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スクミリンゴガイは南米原産の巻貝であり、食用としてアルゼンチンから日本やアジア諸国へ広まりました。日本では、1980年代後半には養殖場があったほどですしかし、現在は野生化したスクミリンゴガイが水稲への加害生物として大きな被害を及ぼしています。

スクミリンゴガイは雑食性であり、稲の芽や葉を食べてしまうことで生産量を激減させる要因になっています。なんと、魚を食べる事もあるみたいです!

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日本のタニシが縦巻きの貝殻に対して、スクミリンゴガイはカタツムリのような横巻きの貝殻です。この個体は小さい方ですが、それでも日本の在来タニシと同じくらいはある気がします。

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大きく成長しますが、ちゃんと貝殻のフタがあります。
この機能があるため、天敵から身を守る事ができます。その為、天敵となる鳥からの捕食では駆除が間に合わないのかも知れません。

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大きくなると、こんな感じです。
羽化なら2ヶ月くらいで、成人男性の親指の先くらいには育ちます。

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この時期は、スクミリンゴガイの繁殖期のようでした。水田のそこらじゅうで交尾する個体を見つけることができました。
この交尾中の個体は水中から出しました。

ちなみに、スクミリンゴガイは水中の外では生きる事ができません。
その為、水稲の播種後は水を浅く張ることで被害を抑えられます。

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こちらが、です。
生体が水中でしか生育できないのに対して、卵は酸素を必要とします。そのため、この卵を水中に沈めると羽化を止めれます。

日本であれば、卵を水中に沈める方法で駆除を行う他にも、スクミリンゴガイが寒さに弱い(越冬が殆どできない)ため冬季になると自然と駆除が進みます。タイでは冬季がないため、日本よりも駆除が難しい状態が続いています。

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タイの水田周辺では、外へ投げられて駆除されたあとを沢山見かけます。しかし、それでも人間の手作業では不十分ですね。

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タイ料理でも見かけないスクミリンゴガイは、食用でも人気が無いです。美味しいタイ米を沢山収穫するためにも、スクミリンゴガイとの戦いに終止符を打つ施策が必要です。

以上、タイの水田で観察したスクミリンゴガイの話でした。
それでは、また次回ッ!
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